2023年 04月 16日
「望み」
雫井脩介(しずくいしゅうすけ) 作 / 牧野千穂 装画
角川書店(2016年) 単行本(ハードカバー) 1600円
344ページ
角川文庫(2019年) 680円 397ページ
*子どもの気に入り度*★★★★
*ふりがな状況*
「また、そのあどけない顔に、青く内出血したようなあざを二つ三つ浮かべているのも、落ち着きの悪さに拍車をかけている。喧嘩(けんか)でもしたのだろうか、先週末、外泊して帰ってきたときに付いていた。一登や貴代美が何をしてそうなったのか訊(き)いても、曖昧(あいまい)な返事ではぐらかすだけだった。」(P16より)
一登が提案する「家族の在り方」を尊重した家づくりは顧客からの評判もよく、建築家としての彼の仕事は順調だった。しかし自身の家庭内では問題が起きていた。ある時から長男の規士(ただし)が家に帰ってこなくなり、連絡も取れなくなってしまったのだ。そんな時、規士の知り合いと思われる少年が、リンチを受けた末に死亡した状態で発見される。警察とマスコミが動き出す中、次第に親の知らなかった規士の人間関係が明るみになり、家族の中で不安と疑念が渦巻き始めた。そしてもう一人、関係者とされる少年が何者かに殺された。遺体の身元が判明するまで警察は何も教えてくれない――。殺された少年は息子なのか!?それとも息子が殺人犯なのか!?
*補足*
グループの人数、目撃者の人数から言うと、残りの二人は殺された少年と殺した側の少年なんです。となると、規士はどちらかの一人、ということになります。息子が人殺しなどするはずがない――と信じる父親。息子は死んでない、必ず生きている――と願う母親。それは言い換えると、息子は死んでしまっていると認める父親と、息子が殺人犯であると受け入れる母親、ということになります。同じ子を持つ親としてこの本を読むと、父親と母親、どちらの気持ちも理解できるだけに、二人の「望み」がどちらしか叶わない事実がラストまでの緊張感を高めています。そして規士が事件に巻き込まれた本当の理由。規士自身の「望み」を知ると、もう何とも言えない気持ちになりますね・・・・。2020年に映画化。
*子どもの反応*
次女(高2)が読みました。「バッドエンドだったねぇ~」と。次女の望みは規士が生きていて、尚且つ事件と無関係であって欲しかったようです。次回はほのぼのハートフル系をすすめてみます(笑)。
記事の更新ペースがすっかり遅くなってきました。
子どもたちが忙しくなって本を読むペースが遅くなってるからなんですが
この調子だとこのブログも本年度で終了しそうです。。。
まだまだ読んで欲しい本沢山あったんだけどな。
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by narimi1020
| 2023-04-16 23:22
| 一般文芸*ミステリー・サスペンス
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