2018年 05月 13日
「神隠しの教室」
「神隠しの教室」
山本悦子(やまもとえつこ) 作 / 丸山ゆき 絵
童心社(2016年9 単行本(ハードカバー) 1600円
383ページ
*子どもの気に入り度*★★★★★
*ふりがな状況*
「他にも何人もの保護者(ほごしゃ)から、電話がかかってきていた。警察(けいさつ)の捜索(そ
うさく)が始まる前に、全校の保護者(ほごしゃ)を対象とする「緊急一斉(きんきゅういっせい)
メール」を流したのだ。情報収集(じょうほうしゅうしゅう)が目的のメールだったが、このことで
四人が行方不明(ゆくえふめい)であることが、ほぼすべての児童(じどう)、保護者(ほごしゃ
)の知るところとなった。」(P65より)
校舎内で、突然、複数の子どもたちがいなくなった。加奈とバネッサは保健室に行ったきり、亮太は図工室に絵の具を取りに行ったきり、みはるはトイレに行ったきり、戻ってこなかったのだ。学校では先生たちが手分けして探し、校外では警察が捜索をするが、なんの手掛かりも得られないまま数日が過ぎる。ある時、養護教諭の早苗は、普段からお腹を空かせた生徒のために用意していたパンが無くなっていることに気付く。不審に思いながらも新しいパンを用意すると、またそのパンは消えてなくなっていた。早苗は過去の自分の経験から、一つの可能性を導き出す。
一方、失踪した子どもたちは、お互いに手を取り合い、誰もいない校舎で懸命に生き抜き、元の世界へ戻ろうと模索していた。
*補足*
私は一気読みでした!ミステリーサスペンスですね。なぜ彼らは別世界の校舎へ連れて行かれたのか?そこはどういう場所なのか?どうすれば戻ることが出来るのか?いなくなった子どもたちと先生が力を合わせ、可能性をひとつずつ潰しながら、正解へと近づけていきます。ところがその過程で、それぞれの子どもたちが抱える問題が明るみに。。。いじめ、子どもの労働、虐待、そしてネグレクト。どうやらそこがキーになっているようです。早苗がそれぞれの親と対峙するシーンは、読んでいて体が熱くなりました。最後に彼らが消えた理由が明らかになりますが、驚きと共に、凄く納得いくものでした。
実はもう一人、行方不明になった子がいます。6年生の聖哉です。彼だけは事情があって、いなくなったことが判明するのが遅れました。彼の物語は涙なしでは読めません。。。
ページ数は多いですが文字がびっしり埋まってるわけではなく、子どもたちside→先生side→子どもたちside・・・とターンが変わりつつテンポよく進んでいくので読み易かったです。
*子どもの反応*
次女(中1)と三女(小5)が読みました。やはり聖哉の件はショックだったみたいです。「聖哉のお母さんは逮捕される?」と聞かれました。ニュースを見てると決して珍しい問題じゃないんですよね。物語は面白かったそうです。
保健室は、子どもたちのケガを手当てしたり、体調の悪い子を休ませるためだけの場所ではないんですね。
学校の中にありながら、そこだけ別空間というか。
そこにいると、先生や他の生徒から干渉されることなく、守られている安心感があります。
自分の味方になってくれる養護教員もいる。
家族や先生に話せないことも、ここでは話せるかもしれません。
何も話さなくても、何らかしらのSOSをキャッチできるかもしれません。
子どもたちの砦である保健室の存在を大切にしてほしいと思います。
(ニュースを見て)保健室に盗撮用カメラなんて・・・許せん!!!
by narimi1020
| 2018-05-13 22:11
| 高学年*不思議・サスペンス
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